【週報】地域の物語2017 『生と性をめぐるささやかな冒険』演劇発表会を観て

花が咲き、いよいよ春めいてきましたね。
事務局では、「JOURNAL東京迂回路研究」の発送作業にいそしんでいます。

先日、世田谷パブリックシアターに、演劇を観に行きました。
タイトルは、「地域の物語2017 『生と性をめぐるささやかな冒険』<女性編><男性編>発表会」

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「地域の物語」は、世田谷パブリックシアターが、参加者を公募して行っているワークショップ。「その年ごとにテーマによって集まった一般の方々が、ワークショップのプロセスを通じて発見したこと、伝えたいと思ったことを発表作品へととりまとめていくプロジェクトです」(パンフレットより)。

今回のテーマは「生と性」。
パンフレットには、こう書かれていました。

「男性」であることや「女性」であることは、
そのうちに、その中に、さまざまな多様性があり、
グラデーションとなっている。
そういうふうにして、私たちは「性」を生きているんじゃないか。

舞台は、それぞれの参加者の体験をもとにした短いシーンがいくつも連なって、一つの作品になっていました。年齢も経験も様々な人たちによって演じられるシーンを観ていると、自分自身の経験が呼び起こされたり、母や祖母の顔が浮かんできたりして、ぐっと自分をえぐられるような気持ちにもなりました。

なかでも印象に残ったのが、〈女性編〉の、「女になることについて」というシーンです。
車椅子に乗って登場した女性が、「女でいるだけでは、女になれない気がしている」と語りました。「女というより、障害者として見られてきたと思う。家事や、化粧など、何かをしなければ、女に見られないのではないかと思ってしまう。」
「障害」というラベルを張られてしまったがゆえに、「女になること」、「自分になること」を阻まれてしまう人。私自身も「障害/健常」のラベルを誰かに張ってしまっていることに気づかされつつ、「女になること」とは何だろう、と考えさせられるシーンでもありました。

自分自身のことを表現する出演者たちの表情が、とても生き生きとし、自信にあふれていて、素晴らしい舞台だと思いました。舞台を通じて、自分が当たり前だと思っていたことを揺さぶられたり、気づいていなかったけれど感じていたことが湧き上がってきたりする時間でした。

(三宅博子)

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